歯科と医科の予防に対する相違を検証

Main 20190326
このエントリーをはてなブックマークに追加

 

歯科では予防に関する考え方が以前と比べると飛躍的に進歩して、近年は予防歯科も大きく注目される分野となってきました。少し前までは見た目を美しくする審美歯科に関心を持つ人が多かったのですが、最近は予防を徹底するために自費でも構わないと考える人も増えています。そもそも予防は病気ではないため、その処置は保険が適応されないのは今も昔も変わりません。ただ『自費』と聞くと敬遠する傾向にあった処置が、今では率先して選ばれる診療方式のひとつとなったのは大きな変化でしょう。

予防に対する認識のずれ

ところで、あなたは病気の予防というとまずどんなものが思い浮かぶでしょう。

たいていは「インフルエンザや風邪の予防」「高血圧の予防」「糖尿病の予防」「動脈硬化の予防」などが真っ先に頭に浮かぶのではないでしょうか。

例えばインフルエンザの予防接種を受ける人は、いまや国民の50.2%と報告されています(平成28年度 厚生労働省 定期の予防接種実施者数参照)。毎年冬の流行期になると世界中で大流行しているインフルエンザは、感染すると急性症状が現れ最悪の場合死に至ることもあることから多くの人が危機感を覚え、早い時期から予防に努めています。

また、生活習慣病の予防については国でガイドラインを決めるなど、政策的に取り組んでいます。その結果、国民のほとんどがその予防法について耳にしたことがあり多少なりとも実践している人も多いでしょう。

ただ、これらの予防と比べて「虫歯の予防」「歯周病の予防」に対する認識はいまなお薄いのが現状です。

インフルエンザと比較するのは強引ではありますが、虫歯や歯周病も同様に感染症のひとつです。ただインフルエンザと大きく違うのは、急性的にかかるものではなく生活習慣病と同じように年月をかけて徐々に進行し悪化していく厄介な病気であるということです。

歯科の予防にはどんなものがあるのか

歯科では

・虫歯

・歯周病

の2つが大きな予防の目的とされています。もちろんその他にも「口腔がんの予防」「歯列不正の予防」「口臭の予防」などが挙げられます。

歯科医院で予防処置の一環として行われるのは、主に定期的な検診とメンテナンスです。その具体的な内容としては、

・虫歯や歯周病のチェック

・PMTC(歯科衛生士が行う機械を使ったクリーニング)

・フッ素などの薬物塗布

があります。それ以外にも自宅で行うものとして

・手用や電動歯ブラシによるブラッシング

・デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助器具を使った清掃

・適切な歯磨き剤の使用

なども有効です。それでも完全な予防法は存在しないため、定期的に歯科衛生士によってチェックを行い磨き方の確認や見直しをすることが大切です。

医科の予防にはどんなものがあるのか

医科ではさまざまな病気に対する予防に関する情報が広く提供されています。そこで、一般的によく耳にする予防法について紹介しましょう。

・生活習慣病の予防

例えば食生活の見直しや生活習慣の改善、禁煙や糖分・アルコールなどの制限をはじめ、健康診断や人間ドックによる定期的な検査確認も薦められています。特に、現代では社会問題となっている『肥満』『糖尿病』『高血圧』『動脈硬化』など命にかかわるケースもある重い生活習慣病について、日常からそのリスクを下げる努力をするよう提唱され、多くの情報が提供されています。

・インフルエンザの予防

夏が終わるとそろそろインフルエンザの予防について国中が大きく傾いていきます。マスクの着用や手洗いの励行など、ウイルス感染対策についてテレビなどでも大きく取り上げられ、最近は冬場にマスクをしている人をたくさん見かけるようになりました。ワクチンの予防接種率は年々増加の一途で、時にワクチンが足りない事象も起こるほどです。

・食中毒の予防

近年知られるようになったO157などのように病原性細菌が付着した食品を食べることによって食中毒を引き起こす場合があります。そこで、食中毒を起こしやすい食品の提供が制限されたり、消毒や扱いの注意点などが徹底されるようになりました。

・子供に多い感染症の予防

プール熱や手足口病、はしか、水疱瘡、嘔吐下痢症など毎年のように流行する病気があります。特に学校などで他人と接触することの多い子供の感染が多いことから、感染がわかったら出校停止や消毒、うがい、手洗いの励行などが学校単位でも行われています。

・性病の予防

近年梅毒の感染者が増加傾向にあると言われています。その他さまざまな性病がありますが、不特定多数との性交渉や感染のリスクのある行為は避けることによって予防します。ナーバスな部分なので、個人個人の認識と正しい理解がポイントといえます。

なぜ人は歯科予防を徹底しないのか

歯科医院はコンビニより多いと言われていますが、それでも歯科予防は医科に比べて徹底されていません。これは、病気の深刻さに関する認識の違いにも原因がありそうです。

医科で扱う病気は、命に関わったり日常生活に支障を来すようなものが多数あります。例えば生活習慣病は、進行すると命を落とすこともあります。このような情報はかなり以前から知識として知られており、率先して塩分を減らしたり休肝日を作るなど少なからず実践している人も多いようです。

しかし、そもそも歯科で最も多い虫歯や歯周病は、直接的に命にかかわることはないと考えている人が多いため放置している人も少なくありません。また日常的な微細な変化の積み重ねなので本格的に症状が出るまで気づかない人も多いようです。

さらに、歯科で予防が徹底されてこなかったのは保険制度にも関係しています。

日本では、医療保険制度が整備されており国民のほぼ全員が何かの医療保険に加入しています。治療費の1~3割を負担するだけできちんとした治療を受けられることから、歯を「自分で」守るという概念が欠落してしまい、予防についての認識は極端にいえば30年前と変わっていないとさえ言われています。海外をみると、国によっては予防について国の政策レベルで徹底されており、歯科大学での学習内容も予防を念頭に置いた学習が行われています。ところが、日本では治療をたくさん行わなければ経営そのものが成り立たないという事情もあって、予防より治療を優先する風潮が定着したため予防が後回しになったともいわれています。

ただ、日本のスキルは非常に高いレベルにあるといわれています。今はMIの方針に基づいた治療が積極的に導入され、海外に追従して予防の概念が周知され始めたことによって予防歯科を積極的に行う歯科医院も増えてきました。

まとめ

体に明確な症状や変化がみられる医科の病気では、予防に関する情報が周知されほとんどの人が個人レベルでなんらかの予防を実践しています。

対して歯科では、自費ではありますが積極的に予防歯科を行っている歯科医院も増えてきました。

歯や歯肉は外部と体内が繋がっている唯一の場所であり、外からさまざまな外的が侵入する場所でもあります。近年では、虫歯や歯周病が心臓病や糖尿病などとも関連していることが報告されるなど、全身の健康にも関連していることが周知されつつあります。

よりよい人生を送るために、「虫歯や歯周病の予防=全身の健康の維持」ということについて改めて再確認し、率先して行うことがこれからの健康づくりの基本なのです。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

採用をお考えの医院様へ

PAGE TOP